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第1回公判までにどのような準備が行われますか?


逮捕勾留された被疑者が勾留期限内に起訴(公判請求)されると,被告人と呼ばれるようになります。
被告人の勾留は,起訴後2か月間継続し,裁判官が罪証隠滅・逃亡のおそれありと判断すれば更に1か月間ごとに法定により勾留が更新されます。 

被告人が執行猶予判決を受ける以前に,釈放してもらうためには,保釈の請求をして裁判官の許可を得,保釈金を納付する必要があります
第1回公判(刑事裁判を公判と呼びます)は,通常起訴から1か月くらい先に指定されます。 

第1回公判に向けた検察官の準備は,起訴前に警察に捜査させ自らも捜査し収集した証拠の中から,被告人の有罪を立証する証拠として取調請求する予定の証拠と不要の証拠とを仕分けし,取調請求予定の証拠を事前に弁護人に開示します。
また,公判に提出する証拠等関係カードの作成,冒頭陳述書,論告書の作成をして準備します。 

これに対し,弁護人の公判準備は,検察官が開示した証拠を閲覧するか謄写します。

また,被告人に接見して事実関係と取調状況をよく確認します。そして,起訴状の公訴事実の記載に問題はないか,検察官が開示した証拠から公訴事実が証明できるか,証拠の収集過程に違法はなかったか,被告人に殊更不利になるように事実をねじ曲げられた供述調書になっていないかなどをチェックします。
それから,公判での弁護方針を立てます。 

公訴事実を認めるか,公訴事実の一部ないし全部を争うか,犯罪の成立は認めるが犯罪事実に関する情状を争うか,第1回公判の冒頭手続きでどのような罪状認否をするか,検察官の取調請求証拠に対する弁護人の同意不同意の意見をどうするかは,弁護人の腕の見せ所です。
弁護人の事実を見抜く確かな目の有無と弁護技術の巧拙により,被告人の有利にならないこともありますので,注意を要します。 

それから,弁護人立証の準備,すなわち,被害弁償の事実,被害者の被害感情が緩和した事実,被告人が反省している事実,被告人が更生できる環境が整備されている事実などを立証するため,弁号証として示談書,嘆願書,反省文,監督誓約書などの提出準備,情状証人として請求予定の職場の上司,家族との証言打合せ,被告人質問の内容打合せ,弁論要旨の作成準備などをします。 

公訴事実を否認して争う事件の場合は,第2回公判以降に行われる検察官請求の証人に対する反対尋問の準備と,被告人の公判主張を裏付ける証拠の収集活動に全力を注ぐことになります。 

公訴事実を認める事件(自白事件)は,主として被告人に有利な情状の立証がポイントになります。
自白事件では,公判は原則として1回で結審してしまいますので,弁護人は,公判前の準備をしっかりと整えるようにしています




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